UNA PAUSA ができるまで|Director & Creative Director Interview
26SS 夏のカプセルコレクション「UNA PAUSA」は、
イタリア語で“ひと休み”“小休止”を意味する言葉。
日常の中でふっと気持ちを整える時間をテーマに生まれたコレクションです。
ディレクターとクリエイティブディレクターに、それぞれの視点からコレクションについて伺いました。

PART 1
Director AYA Interview
Q. 今回のコレクションのラインナップは、どのような視点で構成しましたか?
クリエイティブディレクターから “UNA PAUSA” のコンセプトとムードボードが届いた時に、「日常に飲み込まれないための余白」というキーワードが、とても印象に残りました。
今回のラインナップは、
• 身体を締め付けず、リラックスして着られること
• 忙しい日常の中でも、自分の五感を取り戻せるきっかけになる素材感
• シンプルだけれど、素材や仕立ての良さで気持ちが整うこと
• ひと呼吸して欲しいイメージで製作した服だけど、"だらしなく見えない"アイテム
• 頑張りすぎてないのに品が整う
を軸に構成しています。
日々忙しくしていると、自分のことは後回しになって、目の前のto do listをこなすことばかりになってしまう。
私自身も、気づけば毎日同じことを繰り返しているように感じる瞬間があります。
そんな中で、"身体をしめつけずリラックスして着用出来るもの"
"素材の良さを自分の五感で感じとり、この服は一生懸命頑張ってる自分に買ってあげたんだなあ"と振り返れるアイテムをつくりたいと思いました。
惰性で服を買うと、買った当時のことって思い出せないんですよね。
なので、ふとひと休みしたときに、纏っている自分の服を見て、"ああ、もうひと踏ん張りだ!"と勇気付けてくれるようなクオリティにしたかったのです。
今回のジレやブラウス、ストールは、
リラックス感がありながらも、素材や仕立てにはしっかりとクオリティを感じられるように作っています。
“ひと休み”のためのコレクションでありながら、
また前を向くための小さなエネルギーになれば嬉しいです。
Q. これまでもさまざまなサイズのスカーフ/ストールを展開してきましたが、今回あえて大判サイズにした理由や、こだわったポイントを教えてください。
今回あえて大判サイズにした一番の理由は、
“軽やかに過ごしたいけれど、肌は少し隠したい”
という夏特有の感覚に寄り添いたかったからです。

暑いけれど、二の腕はあまり出したくない。
でも羽織を着ると重たく見える。
そんな時に、ただ巻くだけで自然とスタイリングが整うものを作りたいと思いました。
また、今回は長方形のバランスにもこだわっています。
結んだ時にズレ落ちにくく、肩に掛けたり巻いたりした時も安定しやすいので、
ストールでありながら、まるで洋服の一部のような感覚で使っていただけます。
例えば、
「少しカフェでひと休みしたい」
「近所を散歩したい」
そんな何気ない時間でも、
手持ちの服にさっと合わせるだけで、
“リラックスしているのに、ちゃんと整って見える”
そのバランスを大切にしました。
忙しい毎日の中で、
気づけば適当に服を選んでしまう瞬間って、たくさんあると思うんです。
世の中的にウェルネスが“自分を労わる時間”として大切にされている今、
私にとっては、整った服を着ることもウェルネスと同じくらい大切なことです。
心地よい素材に触れたり、
鏡に映る自分を見て「今日なんか明るくていいな」と思うその積み重ね。
そういう小さな感覚が、自分を労ることにつながる。
逆に、自分がしっくりこない服を惰性で着続けていると、
思っている以上に気持ちまで疲れてしまうこともある気がしています。
感覚が鈍っていくので、後退している気持ちになるからです。
だからこそ今回は、巻いた瞬間に少し気分が上がるような明るい配色を選びました。
Q. 今回のアイテム全体を製作するうえで、共通して大切にしていたことはありますか?
毎シーズン共通していますが、
やはり一番大切にしているのは素材感です。
特に夏は、
素材の良し悪しがごまかせない季節だと思っています。
暑いからラクなものを選びたくなるし、
洗いやすさや気軽さを優先することも増える。
でもその繰り返しで、
気づけばクローゼットの中が
“消費前提の服"
ばかりになってしまう感覚が、私はあまり好みではなくて。
もちろん実用性は大事です。
でも、便利さだけで選び続けると、
自分自身の五感が鈍っていく気がするんです。
だから今回は、
リラックスして着られることを前提にしながらも、
素材を見た瞬間、
触れた瞬間、
「やっぱり良いな」と思えるものを選びました。
夏の服は、消耗前提の服と長く残したい服のバランスを追求したい。
ここ数年の違和感を解いて言葉にして、製作しました。

Q. 今回のコレクションの中で、
個人的におすすめしたい組み合わせやスタイリングがあれば教えてください。
Marinaジレの下に、シルクコットン素材のブラックノースリーブワンピースを合わせるスタイリングは、個人的にとてもおすすめです。
今年の夏は、なぜかブラックに柄を合わせたくなる感覚があって。
(そういう“なんとなく惹かれる感覚”って、実はすごく大切だと思って日々過ごしてます)
あとは、Aperitivoリネンブラウスのホワイトに、落ち感のあるリラックスパンツを合わせるスタイリングも好きです。
今回のブラウスは、レーヨンリネン素材ならではの、自然な艶感と落ち感を大切にして製作しました。
なので、ボトムスもストンと綺麗に落ちるシルエットのものを合わせると、リネン特有の軽やかさがありながら、どこかエレガントな雰囲気にまとまります。
“ラフなのに品がある”
これは、年齢を重ねていく中でも自由にファッションを楽しみたい私個人が強く意識していること。
そんな夏のバランス感を楽しみたいです。

Q. 最後に、26SS カプセルコレクション「UNA PAUSA」を手に取ってくださる方へ、
メッセージをお願いします。
クリエイティブディレクターを見ていると、夏でもシワひとつないシャツを着ていたり、
素敵な素材の服を纏っていることが多いんです。
夏服に手間暇かけることって、忙しくて面倒なように見えて実は、
心身共に良い状態をキープすることに繋がるのかな、と彼女を見て思うようになりました。
私自身、日本の猛暑に耐えられない人間のひとりで、いかに楽するかばかり考えていた去年と一昨年...
今年形からと言うことで、ちょっと良いスチーマーを購入した私です。
自分に少し余白を持たせるための時間は、
品を纏いながらのリラックスしたアイテムで。
みなさまの夏が、ラクしたい時と整えたい時と
良いバランスで過ごせますように....☀️

PART 2
CreativeDirector Cocco Interview
Q. 今回「UNA PAUSA」をテーマにした理由を教えてください。
【UNA PAUSA】は、イタリア語で「ひと休み」や「小休止」を意味する言葉です。
ただ、今回表現したかったのは、単に休むことや何もしない時間ではなく、もっと身近な「ひと呼吸」のようなものです。
日々の中で、私たちは仕事、家庭、社会的な役割、誰かへの気遣いなど、たくさんのものに応えながら生きています。そうしているうちに、自分の感覚よりも、やるべきことや求められることの方が、いつの間にか前に出てしまう瞬間があると思うんです。
その流れを、ほんの少しだけ止めること。 自分が何に惹かれ、何を美しいと思い、何を心地よいと感じるのかを、もう一度手元に戻すこと。
【UNA PAUSA】は、日常からの逃避ではなく、日常に飲み込まれないための小さな余白のようなものです。
完璧に整えられた特別な時間ではなくても、予定外にふらりと座ったカフェ、夕暮れの風の中で楽しむアペリティーボ、グラス越しに見える街の光。
そうした何気ない瞬間の中に、自分自身を取り戻すヒントがあるのではないかと思い、このテーマを選びました。
Q. 今回のラインナップの中で、特に“日常との距離感”を意識したアイテムはありますか?
ジレは、今回とても象徴的なアイテムだと思っています。
ジャケットほど身構えず、カーディガンほど日常に沈みすぎない。
その中間にある、少し曖昧な距離感が今の気分に合っていました。
いつものワンピースやシャツに重ねるだけで、装いに少し輪郭が生まれる。
けれど、決して非日常に振り切るわけではない。
日常の延長にありながら、自分の気分だけを少し別の場所へ連れていってくれるような存在です。
ストールも同じで、単なる実用品というより、纏うことで空気を変えるものとして考えました。
首に巻く、肩にかける、バッグに添える。
そうした小さな所作によって、忙しさの中で少し遠くなっていた自分の感覚に、
もう一度触れられるようなアイテムになればと思っています。

Q. 「UNA PAUSA」の世界観を表現するうえで、ストールやジレの柄はどのようなイメージで製作されましたか?
今回の柄は、旅先そのものというより、旅先でふと感覚がひらく瞬間をイメージして製作しました。
たとえば、知らない街の砂浜で夕陽を浴びる時や、夜がはじまる前のテラス席でグラスを傾ける時。何か特別なことが起きているわけではないのに、少しだけ自分が自由になったように感じることがあります。
その軽さや開放感を、柄の中に込めたいと思いました。
ただし、リゾートのように分かりやすく非日常へ振り切るのではなく、日常の服に合わせた時にも自然に馴染むことを大切にしています。
華やかだけれど、浮かれすぎない。 気分を変えてくれるけれど、着る人を置いていかない。
そのバランスが、【UNA PAUSA】らしさだと思っています。
Q. aLORSオリジナルの革小物には、どのような思いや役割を持たせましたか
革小物は、服とはまた違う意味で、とてもパーソナルな存在だと思っています。
誰かに見せるためというより、自分が手に取った時に少し嬉しくなるもの。
バッグの中から出す瞬間、椅子に置く瞬間、持ち歩いていることをふと思い出す瞬間。
そういうとても小さな場面に、気分を変える力があると思うんです。
今回の革小物には、実用性だけではなく、【自分のために選んだものを持つ】という感覚を込めました。
日常の中では、どうしても効率や正しさが優先されることが多い。
だからこそ、少し遊びのあるもの、美しいと思えるもの、手に触れて心地よいものを持つことには意味があると思っています。
それは贅沢というより、自分の感覚を粗末にしないための、ささやかな習慣のようなものです。

Q. 最後に、26SS カプセルコレクション「UNA PAUSA」を手に取ってくださる方へ、
メッセージをお願いします
【UNA PAUSA】は、特別な予定のためだけのコレクションではありません。
むしろ、いつもの日常の中に、少しだけ別の空気を入れるためのアイテムたちです。
忙しい毎日の中で、自分が何を好きだったのか、何に心が動くのかが、少し遠くなってしまうことがあります。
けれど、服を選ぶことや小物を手に取ることは、そうした感覚をもう一度思い出すきっかけになると思っています。
大げさに人生を変える必要はなくて、ただ少し立ち止まる。 少し装う。 少し、自分のために時間を使う。
その小さな一時停止が、また明日を自分の感覚で始めるための力になれば嬉しいです。
